ええねん

 そんで。

 しばらくキスを続けているうち。

 あいつが覚醒するように我に返って。

 飛び出したんだ。


「すべての行動に同意はなかった?」


 カツリョウは言う。

 そんなん。

 わかりきってるやろ。


「同意できるような精神状態やったと思うか?」


「それは抵抗できるような精神状態じゃなかったとも取れるけど?」


 言葉に詰まる。

 反論のしようがない。



 確かにそうや。

 あの場で。

 同意を求めるのは不自然。

 流れってもんがある。

 オレははじめ無意識で、でもちゃんと意思を持ってた。



 けどあいつは。

 されるがままやった。

 オレにされるがまま。

 で、気がついて飛び出して。



 それって。

 必死の抵抗やったって?


「モテ男も悩みどころか?」


「茶化すなや」


「あいつは読めない女だからな」


「そらそうやけど」


「恋愛処女だし」


「やっぱり?」


「じゃなきゃ男に混ざってサッカーなんかできるか」


「そやな」


「だからって、このまま放っておくのは男らしくないな」


 わかってる。

 それくらい、オレにもわかった。

 せやから昨日から何ぼか考えたわ。



 あやまるべきか、どうか。

 あやまるとしたら、なんて言うか。
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