ええねん
考えてみると、あれやんな。
リョウは女友達いてへんと違うかな。
いつもサッカー部の連中といてた気がする。
それって。
サッカー部的には仲がよくてよろしいことやけど、女としてはね。
女友達がいないって欠点ちゃうかな。
高校生って。
同性でつるむのが普通やし。
それで恋愛とかおしゃれとか。
いろんなこと勉強したりな。
そんなん、なんもないんやな。
この家に誰かを呼んだこともないんちゃうかな。
せやから無駄に動揺するんや。
それもこれもみんな、あいつ。
今田夏日の教育か?
通されたリビングは、高そうなソファがごろごろ転がってた。
とりあえず長いやつに腰をおろしては見るけれど、ふわふわ過ぎて逆に座り心地が悪いくらいやった。
「紅茶でいい? コーヒーのほうがいいんだっけ?」
「どっちでも、お前が紅茶がええんやったらそれでええ」
「わかった」
と、返事をしながら首をかしげる。
ほんまにわかったんかあやしいリョウやったけど、静かに扉を閉めてキッチンだろう部屋に進んでいく。
リビングに取り残されたオレはスポーツバッグをとりあえず下ろす。
で、一息ついて。
親がいてなくて家政婦がいる生活をぼんやり想像してみたりした。
もちろん。
さっぱりわからへんかったけど。