ええねん

 これ。

 イエスもノーもないわな。

 言うてから気がついた。



 でもまぁ。

 ほんまの気持ちを伝えるのが正解やろし。


 
 オレはそこでティーカップを手に取った。

 目の前でリョウは相変わらず動きを止めたままで、一息つこうと紅茶をのどに流す。

 こいつ、こんなこと言われたことないんやろな。

 そんなことを考えながら少し冷めた紅茶を味わった。


「なぁ、リョウ」


「え?」


「オレに抱きしめられたとき、どう思った?」



 リョウはそこでオレを視界からはずす。

 あさっての方向を向いて動揺してる。

 けっこうストレートにものを言うのはおもろい。

 特にこういう、恋愛処女を相手の場合は。



「なぁ、どう思った?

 ウザかったん?

 イヤやった?」



 返事はない。



 リョウは少しほほを赤く染めて、ただ黙ったままいた。

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