ええねん

 けど。

 これ続けてたらあかんな。

 確実にあかんわ。

 というわけで。


「リョウ」


 オレは続ける。


「オレは、お前を傷つけてないんやったら、最低限それでええねん」


「え?」


「今日学校を休んだんは、風邪かオレのせいかはようしらん。

 けど。

 お前のこと、傷つけたくはないねん。

 そういう気持ちはほんまの気持ちやねん。

 せやから、聞きたかってん、お前の気持ち。

 怒らせて、傷つけたんやったら、あやまる。

 けど、もしそうやないんやったら、それでええねん」


「響くん」


「突然のことやったし、少なくとも戸惑いはあるやろし?

 これ以上責めるのはなしやな」


 リョウは上目遣いでオレを見る。



 うん。

 いつもと違う。

 オレの気持ちを探るような目。

 こんなん、いつもしたことない。

 いつもはだって、いつだって。

 自信満々な女やったから。


「あやまらんでも、ええか?」


 リョウはうなずく。

 たぶん、迷いなく。

 うなずいて、オレの目を意思を持って見て。


「あやまらなくて、いい」


 そう言うてくれた。

< 134 / 200 >

この作品をシェア

pagetop