ええねん
そういえば。
昨日もそうやった。
選手権って言葉に、ひっかかったんや。
「リョウ」
「なに?」
「選手権、そんなに行きたいんか?」
リョウはオレを見る。
まっすぐオレを見上げる。
サッカー部で見るいつものリョウに見えた。
「お前にとって選手権って、国立って、なんやねん」
「響くん」
「なんぼほど大事やねん」
「それは」
「それは?」
「ちょっと長い話」
「ええやんか、どんだけ長くても」
「響くん」
「オレ、聞くで」
「でも」
「オレに隠すなや」
オレは言う。
「隠し事すんなや」
「響くん」
「全部知りたいねん、ええやろ?」
それを決めるんは、リョウ自身やけどな。