ええねん


 そう言うリョウは今まで見たことないほど笑っていた。

 女の子らしく。



 美容師になりたいの。

 モデルになりたいの。

 留学したいの。



 そう夢を口にする誰とも変わらへん。

 たとえ、あのグラウンドに自分が立てへんとしても。



「けど、あれやんか」


「あれ?」


「お前はピッチには立たれへん」


「そうだね、そう言われたら返す言葉もないんだけどね」



 それでも平気。

 リョウはそんな顔をしてオレを見て笑う。



「それでもいいの。

 そんなことにはもう、ずっと前に気づいたから。

 そして、気持ちの整理もついた。

 わたしはみんなの支えになりたかった。

 そのために、万能なマネージャーになりたかった。

 ただのマネージャーじゃない。

 なんでもできる。

 みんなとすべてを分かち合えて、分かり合える」


 
 その気持ちが、リョウを追い込んだんやな。

 責任感が強い。

 そんで。

 それを実行できる能力を持っている。

 ちょっと有能すぎや。



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