ええねん

「オレが昨日言うたこと、覚えてるって言ったよな」


「うん、たぶん、覚えてると思うけど」


「練習が休みなんはあと二、三日やろ?

 お前も休めや」



 そう言うとリョウはオレを視界からはずす。

 って、何度もそんなことされてもオレは平気やから。



「お前の気持ちはわかった。

 それやったら、お前の努力をオレらも一緒に追わな嘘やろ?

 せやからデータ収集はともかく、反省会をみんなでやろうや」


「反省会?」


「みんな少なからず思ってることがあるはずや。

 ええこともあかんこともあるやろ。

 それをみんなで出し合って、絶対に。

 国立に行けるよう、途中でこけへんようにせなあかんやろ?

 言うてることわかるな?」


「みんなで?」


「サッカーはチームでする競技や。

 それに、オレらはもうお前がおらんかったらあかんように出来上がってる。

 わかるやろ?

 せやからみんなで、や。

 個人プレーはあかんで?」



 それはオレ自身へのいましめの言葉でもあった。



 ワントップでいい気になったらあかんって。



 サッカーは一人でできる競技やない。

 
< 142 / 200 >

この作品をシェア

pagetop