ええねん


 リョウはしばらく考え込んでいるようだった。

 けど。

 オレの気持ちはちゃんと通じたらしい。

 少しして大きくうなずく。


「わたしも意地になってたのかな」


「責任感が強いんや、もっと気を楽に持たなもたへんで」


「もたない?」


「お前、全国決まったらどうすんねん。

 決勝まで何試合あると思ってんねや」


「そっか…」


「全国決まったら全部のデータ収集に走るやろ?

 それくらいのキャパシティ残しておけや」



 国立に行くとか言いながら、どうも大事なところが抜けてるらしい。

 国立に行くって言うのは、開会式で歩くって意味と違うねんから。



「頼むで、マネージャー」


「そう、だよね」


「オレらのこと信用してもっと頼れや」


「うん」


「ほんで、みんなで行くんやろ?」


「うん」


「ところで」


「え?」


「話戻してもええか?」



 オレの言葉にリョウはきょとんとしてみせる。
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