ええねん

 それって。

 殺し文句ではなかったか。

 反応は薄い。

 オレ。

 フラれんのか?

 まだなんもはじまってへん女にフラれるんは、生まれてはじめてや。



 なんや、おかしい。

 笑うしかない。



 オレ。

 本気なんや。

 リョウのこと。

 ほんまに好きなんや。



 というか。

 これが好きってことなんや。

 きっと。



「リョウ」


 名前を呼ぶと視線がぶつかる。

 そしてその視線を相変わらずリョウははずす。


「オレな、はじめてや」


「え?」


「こういうふうに自分から女くどくん」


「嘘」


「ほんま、いつもはくどかれるように仕組んでたから」


「仕組む」


「オレ、そういう方面では頭が働くねん。

 たぶん、おとうちゃんの血やな」


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