ええねん


「仮にどんな付き合いだろうと、どんなきっかけだろうと。

 傷つく権利はあるやろ?」


「傷つく?」


 大きな目をより大きくして愛が言う。

 さも驚いたように。


「誰が?

 わたしが?

 彼氏と別れて傷つくの?

 まさか」


「まさかてなんやねん」


 イラっときた。


「そら、軽い付き合いやったかもしれへん。

 お互いに。

 自分にふさわしい相手と思ってただけかもしれへん。

 それは好きとは違う感情やったかもしれへん。

 けど。

 相手のこと信じて、思ってなかったらセックスなんてでけへんやろ?

 違うんか?」



 責め立てたのは。

 オレとの別れを惜しんで欲しいからやない。

 別れたくないて。

 すがって欲しいわけでもない。

 

 ただ。

 無理してるような気がして。

 いたたまれへんようになった。



 つらいなら。
 
 つらいって言ってもええねんもん。



 それくらい泣き言いう権利は、あんねん。


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