ええねん
って言うても。
抱きしめただの、キスしただのは正直言えん。
さすがのオレにもそれは言えん。
正直に言うていいことと、黙っておいた方がいいことの両方が存在していることくらいはわかる。
「オレにその気があることは伝えた」
「さっそくなのね」
「そしたら当たり前やけど、お前のこと気にしたから」
「全校公認だもんね」
「まあな」
「それで、勢いよくわたしのところに来たってことは、いい感じってこと?」
「おかげさんで」
そう言いながら、ほんまに余裕があることに驚いていた。
愛はちっとも動揺してない。
淡々と。
まるで他人事のように話を進めていく。
それは。
オレにさほど執着してへんかったからか。
それとも。
やっぱり。
慣れてしまったからか。