ええねん

 下駄箱で二組の一番最後に貼られた真新しいシール。



 響悟流



 オレの名前。

 一昨日書類を届けに来たとき買っておいた上履きをつっかける。

 それから職員室に向って歩く。

 相変わらず視線はついて回る。



 うっとうしさ半分。

 くすぐったさ半分。



 ま。

 どうせやったら女子の視線がええねんけどね。

 男の視線なんていらん。

 そんなもん世の中に必要ない。

 

 目が合うと、反射的に笑うのはきっとくせ。

 口角を上げてにこりとしてしまう。



 愛想がええのんはきっとおかん似やな。

 愛想のええ男。

 愛想のええ二枚目の転校生。




 オレ、もてるんちゃうかな。

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