ええねん

「なぁ小柴」


 オレは少しクールダウンをする。


「これは批判と違うねん。

 あんな。

 今は女子部って結構あるやろ?

 大会かてあるやろ?

 実力があるんやったら、ちゃんと女子部でやったらどうやっちゅう話や。

 わかるやろ?」


 うつむき加減だった回りがそっと顔を上げる。

 場の空気も上向きや。


「それとも女子部を作るのが難しいんやったら、バスケでもなんでもええやん。

 身体能力が長けてんねやったら、何部でもええやん。

 リョウの力を存分に発揮できる部にいったらええやん。

 なんでサッカー部なん?」


「それは」


 と、小柴の返事ははっきりせん。

 もっとも。

 これは小柴やサッカー部員ちゃうくて、リョウ本人に聞くべき質問やったな。


「まぁええわ。

 男勝りの処女にかまけてる暇はないっちゅうねん。

 なぁ、ええ女いてへん?」


 本音。

 それに回りがため息を漏らしたのは、なんでやろ?


「ここでいきなり女の話?」


「オレ女がおれへんとあかんねん」


「あかんねんって」


 小柴はそう言ってから揚げを大きく食らいついた。


「できたらあれやな、帰宅部で、いかつくなくて、かわいい子がええな」


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