ええねん

 サッカー部の小さな集団がより小さくなる。

 ただ、がたいはでかいから実際はさほど小さいわけやないけど。


「違うん?」


「いや、それは」


 小柴はひどく言いづらそうに言う。


「それとも何?

 今田夏日とつき合うてるとか?」


「まさか」


 それは思わぬ大波。

 みんながそろいもそろって否定する。


「なんで?

 絶対違うんか?」


「絶対っていうか、夏日先輩とリョウは」


 小柴は明後日のほうを見ながらつぶやく。


「確かに仲はいいけど、いとこだし」


 そう言ったのは小柴の隣のクラスメイト。


「いとこって結婚できるんちゃうかったっけ?」


「いや、できるけど」


「ほら、ないとは言い切れへんで?」


 おもしろくなってきた。


「自分の女やから自分のテリトリーに囲ったんちゃん?

 ほんで硬派気取ったんちゃう?」


「響」


 そう言ったのは小柴だった。




 気のせいじゃない。

 怒りを含んでる。

 それくらいオレにもわかる。

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