ええねん

 会うてみたいわ、今田夏日。


「っていうか、響さぁ」


 小柴が前かがみで言う。


「リョウが処女って本当だと思う?」


「そうやろ」

 
 オレは真顔で返事する。


「あれは処女や、彼氏もいてへんな」


「断言するんだな」


「オレ処女ってわかんねん、うっとうしい感じするやろ?

 ああいう面倒くさそうな女あかんねん。

 処女ってたいがい重いし、扱いが面倒やんか?

 やっぱり割り切れる女がええなぁ」


「だからでかい声で言わない」


 オレは小柴にたしなめられて肩を上げる。

 男と女のことになるとつい声がでかくなる。

 でも確かに女に聞かれたらあかんないようかもしれへんけど、聞いてもらっておいたほうがええ場合もある。

 オレってこんな男やから。

 それでもよかったら、つき合うてもええで。

 ってね。


「でも実は今田夏日はリョウ狙いやったりして」


 ハハっと笑いながらオレは言う。

 それから水をのどに流す。

 と、場がしんとしてる。


「何? 

 地雷なん?」


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