ええねん

 3年2組。

 ちらっと顔を上げると扉の上にそんな白い板が出てる。

 高校三年にもなって転校するとは。

 トホホな人生にちょっと肩の力が抜ける。



 ま。

 しゃーない事情があるねんけどな。



「行くぞ」


 勝はそう言って扉を開く。

 中は騒がしく、でもオレが教室内に足を踏み入れると一瞬静まり返る。


「おら、席つけや」


 さわやかだけど口が悪い。

 勝はつかみ所がない。


「転校生だ、知ってる奴もいるだろう」


 教壇に上がって勝はそうさらりと言った。

 続いて教壇に立ったオレに「響?」と声がかかる。


「響悟流?」


「正解」


 勝はそう言って笑う。


「マジで? T工業の響?」

 声を発してるのは教室の真ん中辺りにいる男。

 オレをじっと見ながらそう冷静にオレを説明する。


「なんで響がうちに?」


「その辺は本人に語ってもらえ」


 勝はそう言って教壇をすっと降りた。

 オレは仕方なく教壇の真ん中に進んで、それから。

 黒板に響悟流とでかい字で名前を書いた。

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