ええねん

「昨日、試合見てたの」


「そうなん?」


 意外な言葉にオレは驚く。


「響くんの噂が学校中回ってて。

 そしたら紅白戦やるんだって言うから見に行ったの」


「ふーん」


 と、一応さりげなく興味なさげに返事をしてみる。


「友達にすごい強い学校にいたって聞いたんだけど、しかもそこでエースだったって。

 試合見たら本当にすごくて」


 言うたれ言うたれ。


「小柴くんなんて響くんに見とれちゃってて、足止まってたし」


「あいつはあれでエース言うてたけど?

 カツリョウが」


「小柴くんは普段は結構うまいと思うけど。

 運動神経もやっぱりいいから、体育の授業でも目立つし」


「そうなんや」


「わたし、隣のクラスだから体育は合同なの」


「合同?」


「うちの学校、体育は男女別で二クラス合同でやるの」


「へぇ、お隣さんなんや」


「うん」


 口角を上げたアヒル口。

 話もうまいし、よさそうな女やな。

< 65 / 200 >

この作品をシェア

pagetop