ええねん
「昨日、試合見てたの」
「そうなん?」
意外な言葉にオレは驚く。
「響くんの噂が学校中回ってて。
そしたら紅白戦やるんだって言うから見に行ったの」
「ふーん」
と、一応さりげなく興味なさげに返事をしてみる。
「友達にすごい強い学校にいたって聞いたんだけど、しかもそこでエースだったって。
試合見たら本当にすごくて」
言うたれ言うたれ。
「小柴くんなんて響くんに見とれちゃってて、足止まってたし」
「あいつはあれでエース言うてたけど?
カツリョウが」
「小柴くんは普段は結構うまいと思うけど。
運動神経もやっぱりいいから、体育の授業でも目立つし」
「そうなんや」
「わたし、隣のクラスだから体育は合同なの」
「合同?」
「うちの学校、体育は男女別で二クラス合同でやるの」
「へぇ、お隣さんなんや」
「うん」
口角を上げたアヒル口。
話もうまいし、よさそうな女やな。