ええねん
別に、切り替えの早い女が嫌いとは違う。
むしろ。
ずるずるするような女は嫌いや。
その点けっこうさっぱりしてそうなんや、こいつ。
けど、あれやな。
男がおらなあかんタイプや。
いつも隣にええ男がおらなあかんねん。
そうやって何年も生きてきた。
それが普通。
せやからこうやってオレに来る。
仕方ない。
そういう女やって、みんなに思われてんねんもん。
そんで。
そういう女でいようと努力してんねんもんな。
しゃあない。
「で、愛ちゃんは彼氏募集してんの?」
オレは言う。
「誰かが今フリーやって言うてた気するけど、違うたかな?」
オレ口調ちゃうわ。
ちょっと口説きにかかってるかも。
ほんまはこんな優しいこと言う男と違うけど。
悪くはないねん、ほんまに。
たぶん。
今までと同じような付き合いができんねん。
こいつやったら、きっと。
「今は、ね」
「うちのクラスのやつと付き合うてたんやろ?」
「そんなことまで聞いてるの?」
目を丸くして愛は言う。
「そらしゃあないやんか」
「仕方ない?」
「べっぴんさんはいつだって噂の的なんやから」