ええねん
愛は瞬間的にうつむく。
むしろ。
これは反射的な演技かも。
「おかげさんでオレも噂の的みたいやけど」
そう言って笑うと、頬を赤らめた愛が顔を上げる。
「転校初日からじわじわとね。
昨日は結構ギャラリーもいて、すごかった」
「で、自分は?」
「え?」
「オレを見に来てたんや」
またや。
チラッとオレを見上げたせつな、目をそらす。
うまいな。
男とめっちゃ付き合うてる女や。
「違うん?
ひょっとして小柴とか?」
「小柴くん?」
「マニアックやな」
「違うよ」
顔を合わせる。
目が合って。
笑う。
これは正直な笑顔やな。
「小柴くんは、いい人だけどね」
「そうやな、あいつええやつやねん。
けど、ええやつやから、ええ男ではないねん」
「はっきり言うね」
「オレ、嘘とか嫌いやから」
それは事実。
嘘は嫌いや。
だからいつも正直。
まっすぐが、オレのウリ。