ええねん

「響くん?」


「あ、ああ、えっと、どうも」


 リョウにうながされてオレは手を出す。



 握る力。

 強い力。

 ただの握手というか。

 男同士の握手というか。



「昨日もさっそくすごかったんだから、響くん」


 リョウは首をぐっとあげて今田夏日に話しかける。

 今田夏日はだいたい目線がオレと一緒や。

 180は軽く超えてる。

 そんな男相手にリョウは笑顔でオレのことを話す。


「テクニックもすごいし、入って早々チームキャプテンバリだったんだから」


「今年はそういうリーダー的要素の強いメンツがいないからな」


「みんな響くんの上がれって言う声にあせって足動かしてるんだもん」


 くすくすと。

 リョウは笑う。



 まるで女の子みたいに。



 いや。

 事実女の子やけど。


「やっぱりレベルが違うんだな。

 背が高いわりに足も速かったんだよな」


 オレのデータ。

 今田夏日にはオレのデータも入ってんのか。

 それは。

 リョウにオレの転校を言われてから叩き込んだのか。

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