あたしの廓-花魁道中-

壱.始まりの朝

市役所の中はごった返していて、あたしは市民科の前の長椅子に小さく座っていた。

一年前の今頃はまだ、香月(カツキ)と一緒にいたのに。

ここへ二人で婚姻届を出しにきた。

これから始まる新婚生活と、生まれてくる子供への期待で心臓をバクバクいわせながら。
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