あたしの廓-花魁道中-
「初めまして、凜です。」

その貫禄と何とも言えぬ迫力に圧倒された。

あたしの挨拶には目もくれず、女将はつかつかとあたしの目の前まで詰め寄ってきて、こう言った。

「いい器量やね。上等よ。凜って言ったね、来なさい」

この時、あたしは思った。

とんでもない所へ来てしまったと。

気が付くと、えりなの姿はどこにもなく、店の中には女将とあたしの二人だけになっていた。
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