お兄=秘密彼氏


西崎さんは 腕を組みながら指を上下に動かしている



いかにも イライラしているようだった


目線なんて 左手にしている腕時計に落としていた




なんか…時間を気にしてるみたい……




「早く答えなさいよ!
いくら欲しい?」



「アンタ…何言ってんだよ」




スッと私の前に1つの人影が現れた


その影は ゆっくりと西崎さんに近づいていった



その影は 私のよく知っている昌樹のものだ



「アンタさぁ 金で全てが解決するとでも思ってんのかよ!!」



ビクッ


静かな病院のロビーに 昌樹の怒鳴った声が大きく響いた


こんな 昌樹の姿…初めてだ……




「金金って アンタわかってんの?
アンタの不注意で兄貴は今手術してんだよ!
なのに一言も謝んないで金と時間ばっかり気にしやがって!!」



昌樹は止まらずに 次々と西崎さんに言葉をぶつけていく


それを黙って聞いている 私たち







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