お兄=秘密彼氏
大哉には嘘を言ってしまった
俺自身はわかっていたんだ
父さんが母さんじゃない女と
毎晩会っていたことを
それに対して母さんも
すごく怒っていることを
俺と大哉が部屋に入ろうとしたとき
「もう・・・別れましょ」
確かに聞こえたんだ
消えそうで 悲しい声で
母さんがそう言ったのを
俺は聞き逃さなかった
俺は小さいながらにして
別れるの意味は大体知っていた
『離婚』
その二文字が頭を過ぎった
「うっ・・ひくっ」
俺はその夜
誰にもばれないように
静かに泣き続けた