いちごみるく






ドタバタドタバタッ



蒼が慌ただしく階段を降りる音がして

私は何事もなかったようにすっと立ち上がった


そこへ慌ただしさを残したまま蒼が叫んだ
「璃乃!こげ臭いんだけど!鍋の火消してる!?」


「え……?」


視線を移すと
私の真横にある鍋からはボコボコといびつな音をたててシチューが吹き出していた


「ギァ─────!!」


私はとっさに鍋の蓋に触れようとした。

「熱ッ!」

しかし吹き出したシチューが手首に飛び散り痛みが走った


「おい!バカ下がってろ!」
いつの間にか離れていたはずの蒼は隣にいて


私の腕を掴んで鍋から引き離した

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