【少女A。】

理由は何も無い。

乾いた音が教室中に広まる。

それまで勉強に励んでいた者も、その音でこっちを向いた。

私の横には、生前大してわるい顔では無かった普通の少年の屍体が向こうの方に傾いていた。

首は力無く投げ出され、肩には見たことも無いようなおびただしい量の血が広がっている。右目の少し上には、大きい穴が空いている。
そこから止まること無く赤黒い血の塊が流れ出ている。

銃の衝撃に耐えられ無かったのか、大きく開かれた穴の上数センチが小さく割れていた。

頭蓋骨が割れて、初めての外の世界が見たいために、恐る恐る顔を出した脳しょうが溶けてトロトロのスープみたいに流れ出てきた。

目は飛び出て充血している。

気持ち悪い。

舌は口から出ている。唾液が垂れている。

気持ち悪い。

鼻からは鼻水と鼻血の混じった混合物が流れ出ている。

気持ち悪い。

前髪の一部分は血と脳しょう とで汚れていた。

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