アスファルトに咲け!



このアパートは壁が薄い。


よって、あたし愛用の目覚まし時計は近所迷惑。


なので昨晩は携帯のアラームをセットして寝たのよ。





なのに不思議だね。あたし、アラームで起きてないよ?





「ぎゃああぁぁ!!」




ブレザーのポケットに入れていた携帯を取り出して時間を確認する。




遅 刻 ギ リ ギ リ 。





アラーム音に気付かずに寝ていたために、1分経って音が止まってしまったのだ。




「何やってんだよ、もォ~!」




半泣きになりながら鞄を持って部屋を飛び出す。せっかくの新しいローファーも早速踵を潰してしまったけどなりふり構っていられない。




怒りの矛先を向ける相手も居ないので、あたしはただひたすら自分を呪いながら走った。


アパートと学校の距離が近いってのが唯一の救いだね。



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