愛のプレゼント〈超短編〉
「 彩香先輩! 」
後ろから、私の名前を呼ぶ声がして振り返ってみる。
多分、振り返らなくても声で分かったんだけど
好きな人に初めて名前呼ばれて
振り返らない人なんかきっといない。
「 ………何? 」
幸君は卑怯だ。
せっかく諦めようって思ってるのに
どうしてこう言う時に、いつもは呼んでくれない名前を呼ぶの?
「 ちょっと、来て 」
いつの間にか、廊下には生徒達が集まっていて
野次馬のように私達を見ていた。
それに気付いた幸君は、うざそうに周りを見ながら
私の腕を引っ張って、人気のいない家庭科室前まで連れていった。