愛のプレゼント〈超短編〉
「 待って 」
幸君はまた私の腕を掴んで引っ張った。
もうこれ以上、涙を見られたく無いのと
幸君の困った顔をみたくなくて、
下を向いたまま、「離して」と腕を引き返す。
幸君はやっぱり男の子だから力は強くて
私が手を引いてもびくともしなかった。
「 もう離してよ!! 」
これ以上傷付く位なら
愛のプレゼントなんか、
「 話し聞いて下さい!」
捨ててしまおう、
「 聞きたく無いの! 」
無かった事にしてしまえば、
こんな想い、忘れられるでしょ?
「 彩香先輩、」
今までに聞いた事の無い位低い声でそう言われパッと顔を上げた。
初めて見る、幸君の悲しそうな顔。
こんな表情にさせたのが自分だと思うと
ギュッと胸が潰れるように苦しくなった。