テキトー彼女。
不条理なハンデ

乗り物と競争

「じゃあねん」
 爽やかな笑顔とほのかな香水の香り(俺が好きな柑橘系)を振りまいて、陽菜は自転車を漕ぎ始めた。

 おいおい……ふざけんなよ!?

「卑怯だぞーー!!」
 陽菜の背中に呼び掛けながら、俺は再び走り出した。

 声を掛ける度、陽菜は背中を向けたまま手を振ったり、たまに後ろを振り返ってあっかんべをした。
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