恋愛初心者~アイツが好き~
しっかりと青いケースに入っている、小さくなった消しゴム。
そのケースを取ると、鉛筆で薄く書かれている彼の名前‥笠井晴樹の4文字。
その裸になった消しゴムをジッと見つめる。
日に日に小さくなっていく、この消しゴムは、日に日に輝きを増す。
‥ように見えている。
あと半分くらい‥?
あとちょっとじゃん!
よぉーし!
勢いよく消しゴムをゴシゴシと机に擦り始めた華恵。
すると突然、誰かに後から肩をポンと叩かれた。
「華恵」
聞き慣れた彼女の声が待ち遠しすぎて、私は大きな声で名前を呼んだ。
「真衣ー!待ってた!」
「ん?どうしたの?って、消しゴム‥随分と小さくなったね」
馬鹿にしたようにケラケラ笑うかと思うと、優しく微笑み消しゴムを手にした。
「私も‥‥かな‥」
休憩時間だからなのか、周りの声がウルサくて上手く聞き取れなかった真衣の声。
「え‥なんて?」
耳に手を当て、もう一度聞き返した。すると‥
「私もしようかな!こーれっ!」
華恵の耳元で、耳が痛くなる程の大きな声を出した。
そんな彼女をチラッと見てみると、耳までもを真っ赤に染めていた。