サンクチュアリ
act 2 + 運命というもの

scene 1

がたこん、と車体が揺れる。

田舎町の古い鈍行列車だけど、ちょうど帰宅時間帯だから乗客の数はそこそこ多い。

それでも高校生が二人並んで座るくらいのスペースは余裕であった。


あたしと死神サマ。


帰る方向は一緒だけど、降りるのは死神サマが先で、あたしはその次の駅。だから近いようでいて小学校も中学校も違う。


初めて会ったのはちょうど智彦と付き合い始めた頃。でも名前だけは高校に入学した頃から噂で聞いて知っていた。

なにしろ『北高の死神サマ』といえば、女子高生の間ではちょっとした有名人だからね。


女の子の間で噂になってる占い師、それが死神サマ。


もちろんプロじゃないけど、びっくりするくらいよく当たるんだ。

しかも占い料は甘い物をひとつだけ。だから色んな学校にお客さんがいるんだって。


さっきの怪しいオッサンとかテレビや雑誌の占いなんて信じないけど、死神サマだけは別。きっとほかの子たちも同じじゃないかな。


だって死神サマは、あたしたちの話をちゃんと聞いてくれるから。
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