サンクチュアリ

scene 2

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過去に『恋人』、現在に『運命の輪』、未来に『星』。


これが一週間前に死神サマの占ったあたしの運勢。

三枚のカードに共通しているキーワードが『運命の出会い』なんだって。


未来ならともかく現在や過去にまであるということは、もしかしたらすでに出会っているかもしれない。

っていうのが死神サマの読みなんだけど。


「……出会えてたら苦労しないよねえ」

「え、なに? 新しい出会いでもあった?」


ざわめく教室の窓際、思わず呟いた独り言にメイクを直していた知世が顔を上げた。

もー、出会いって言葉にだけは敏感なんだから。しかも思いっきり聞き間違えてるし。


まあね、知世も彼氏と別れたばっかりだから気持ちはわかるけど。


「違うわよ。出会いがあったんじゃなくて、出会えたらいいなって話」

「だから今日の合コン一緒に行こうよ~。ちょうど一人足りないしぃ」

「まだそんな気になれないんだってば。いいからほら、さっさとメイク終わらせちゃいなって」


放課後の教室からは、あっという間に人が消えていく。

いつも一緒のグループにいる子たちも今日はみんな用事があるみたいで、HRが終わってすぐに手を振りながら帰っていった。

で、残ったのが一人身な知世とあたしってわけ。
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