サンクチュアリ
あたしは智彦の五番目の彼女だった。

夏休み明けの始業式、クソ暑いのに校長のウザい話なんて聞いてらんないよねって友達とサボった時のこと。


鍵が壊れてる空き教室に隠れて友達と喋ってたら、同じ理由で始業式をサボった軽音部の人たちが五人くらいでそこに来たんだよね。

それでサボり仲間みたいな感じで意気投合して、みんなでワイワイどうでもいいことで盛り上がってた。


その中に智彦もいたんだけど、話してる間に音楽の趣味が合うことに気付いて、いつの間にか二人並んで、好きなアーティストとかドラマや映画のことまでずっと話し込んでた。

しかも笑顔が無邪気で可愛くって、あたしはあっという間に智彦のことを好きになったんだ。

何より身長百七十センチのあたしより背が高い! これ重要ポイントだよね。


そうしたら智彦があたしともっと話したいって言い出して!

あたしホントに嬉しかった。放課後に今度は二人きりで遊びに行こうって誘われた時も、夢でも見てるんじゃないかと思ったくらい。


何しろあたし、男の子にそんなこと言われたの初めてだったから。
< 7 / 187 >

この作品をシェア

pagetop