お前、俺の彼女やったっけ? *短編*



ザアァァァア───…
『寒っ…』

病院の駐車場にあるベンチに女の子が寒そうに座っていた。
誰かを待ってるみたいに…空を見上げて。

すぐに奈美やと分かったけど…何て言えば…どうやってプレゼントを渡せばいいかが分からんかった。

とりあえず、気付かれんように近付いた。
そして、さりげなく奈美が座った。
すると、奈美は驚いたと思ったら、いきなり泣き出して…俺は、どうしたらいいんか分からんから、話し掛けてみた。

「なぁ、奈美…。」
『純ちゃんっ…』
「何で俺の彼女とか嘘言たん?」
『記憶…喪失……やったんとちゃ…うの?』
泣きながら、飛ばし飛ばし話す奈美がなんか可愛くて…優しく言った。
「お前が勘違いしたんやんけ…冗談やのにな…。」
『う…だって…』


なぁ、奈美?
覚えてる?
もしかしたら、忘れてるかもしれんけど…約束やから、守るわ。


小学校1年…の時やったっけ。
お前が、俺の名前も知らんくせに家に遊びに来て…一緒に遊んでんな。

「お前、いつから俺の彼女やってん? あははっ」
『わっ… 笑うなよぉ…』

その日から、お前は毎日俺の家に来て、遊んで帰った。俺は、お前が分からんくて、“何で毎日俺んち来るん?”って聞いたよな。
そしたら、お前は“なんとなく、おもろいから!”って言った。
俺は、変なこと言ってるお前のがおもろくて…その日からずっと一緒にいるよな。



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