お前、俺の彼女やったっけ? *短編*



『純ちゃんっ 今日なぁ、あたし試合のレギュラーになったねんで!』
病室のドアを開けたとたん、嬉しそうに奈美が言った。俺が笑うと、奈美も笑ってみせた。
奈美は昔から、俺に負けず嫌い。やから、俺が小4ん時に野球チーム入ったら、自分も何かするってテニスを始めた。んで、今も続けてる。

ほんで、この前俺がレギュラーなったって言うたら、『あたしもレギュラーなる』って言って、ほんまになってるし。
この一生懸命なとこが好きなんやろなぁ。

『純ちゃん、まだ思い出さへんのか…。』
うなずく。
うなずく以外出来ひんかった。
すると、奈美は悲しそうな顔をした。

あれからずっと考えてたけど、奈美は何であんな事言ったんや?
“あたしはあんたの彼女やってん!”か…。
彼女じゃなかったやん。
俺がお前の事好きやなんて知らんやろ?
いっつも平気で家に遊びに来たり、勝手に部屋で遊んでたりさぁ。

その度に緊張して。俺、ほんまに奈美好きやな。
でも、奈美は俺の事何とも思ってないやろな。
好きな男の家にいっつも遊びになんか行けへんもんな。



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