お前、俺の彼女やったっけ? *短編*
退院まであと、2ヶ月と1週間。
「このままずっと入院しててもええような…。」
俺はそんなことを言った。奈美が病室に来ると、顔がにやける。
ほんまに奈美が俺の事好きやったらいいのになぁ。
『純っっ!』
いきなり俺を“純”って呼んだから、びっくりして頭を壁で打った。
「なっ…何でいきなり…。」
『あははっ もうあたしら高1やで? “ちゃん”なんか付けたら、カッコ悪いやろ?』
「う…ん。 まぁ…。」
『そない照れんなって!』奈美は声を上げて笑う。
やっぱ自意識過剰なんかな?
でも、こんなん普通、俺の事好きなんかなー…って思うてしまうで!?
だから、このまま入院してていいかなーって思ってしまうねん!
…まぁ、勉強とか、野球が出来ひん事が悩みやな。
俺が独り言のつもりでそう言うたら、奈美が聞いてたんか…勢いよく病室を抜け出していった。
なんやろ?
忘れもん?
2時間くらいして、奈美が息を切らして戻ってきた。
『これ!』
「ん?」
奈美の手には、俺のバットとグローブ、それに野球マンガ、スクールバッグがあった。
「お前、よぉこんだけ持ってこれたなぁ。」
『ほらっ 勉強教えたるから!』
バンッ
「こんなにー!?」
『そやで! 純ちゃ…純が休んでる間、勉強だいぶ進んだんやからなっ』
その日から、奈美に遅れた分の勉強を教えてもらった。
でも、昔からそんなに賢い方ではなかった奈美の教え方には不安を抱いていた。