セレブの同居人
そんなモヤモヤに顔をしかめていると、
親父がおっさんと女の人に俺を引き合わせた。
「おはようございます、旦那様、奥様。」
「おはよう、勇。」
「おはようございます、勇さん、雪ちゃん。」
2人共、笑い方に威厳と上品さが混じっていて、何か圧倒された。
…金持ちって皆こうなのか?
「秋…くん、だったかな?」
おっさんが急に眉をひそめて、そっと俺に視線をめぐらせた。
「はい、松下秋です。これからお世話になります。」
表笑顔でにこりとおっさんに対応した。
おっさんは少し考えるような顔をして、
「あぁ、よろしくな。」
って何事もなかったように笑った。
「我が家だと思ってくれて構わないからね。」
「ゆっくり過ごしてね、秋くん。」
夫婦そろっていい人なんだー…。
この家でやってけそうな気がしてきた。
話してると、
おっさんの名前は真太郎さんで、
女の人の名前は和華さんだと教えてもらった。
その後、親父が
「秋、次は夕飛様と華乃様ところだ。……では旦那様、私どもはこれで失礼します。」
って言った。
真太郎さんは、少し頷いて目を伏せた。
親父のあとを追って、さっきの男と女の子のもとへやってきた。