儚い翼
ガタンッ

「ん?」

「ああ、悪い。本が落ちた」

「何て本?」

薄い本出してきたりして。

「これだよ、姉ちゃんがくれた」

"君に届くもの"…。

「何かさぁ、恋愛物なんだけど、ちょいエロなんだー」

「へぇ。何ページあるの?」

かなり厚いけど、400ぐらいだな。

「っと…」

ペラペラ

「672かな」

ち、中学でそんな。

あたしが全然読まないからかな。

「すげぇだろ。…なんだ《それ》?鞄の中の」

あ…。

「え~ぇと~」

「彼氏から?」

「なわけないじゃんっ」

《それ》は、《あいつ》とおそろいで買った、天使の翼(片方)だ。
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