儚い翼

幸せな時間

ガチャッ

「ただいまぁ」

「お邪魔します」

「おかえり。聖君、いらっしゃい」

美味しそうな匂いが、家中にしみ付いた。

「愛心、これもってる?」

思わず涎が出そうになった時、聖が何かをあたしに見せた。

「天使の翼―…」

あたしは、鞄の中から天使の翼を取り出して、聖に見せた。

「捨ててなかったんだ」

「…捨てれんかった」

聖は照れながら「まぁいいや。今を楽しもっ」と、頭を掻きながら言った。
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