中曽根工業高校
「何でそんなとこ?」

「いいから、いいからー!!」

ちぃは笑顔で手を振っていた。

(まぁ、元気でよかった……)

ヒノケンは丘を登ろうとしたが、道がなく、草をかき分けて登っていくことになった。

「なんだよ、ここ…」

ヒノケンがグチりながら登りきると、ちぃは向こう側に見える景色を指差した。

「おっ……」

夕日に照らされた住宅街。人間たちがよく見える。

「見晴らしいいだろ?エッヘン」

ちぃは嬉しそうに言った。

「すげー」

ヒノケンは感銘したように1歩踏み出した。

「あっ、今踏んでるとこにシャア様埋めた」

「?シャア様?」

「中学のとき、飼ってた犬…車にひかれて死んだ」

「うわっ」

ヒノケンは思わず後ずさりした。

「はははっ♪」

ヒノケンは気を取り直して、景色を見渡した。

「……俺、中学のとき連れがこの辺住んでて、この公園来たこと何度かあるけど…こんな所があるの初めて知った…」

「そうなんや」

「ちぃに会えなかったら…気づけなかったろーな」
< 128 / 249 >

この作品をシェア

pagetop