中曽根工業高校
「そんな事言うなよ」

ヒノケンの声は震えていた。

「……ごめん」

「俺…ちぃに会えてラッキーだなって思ってるもん。今みたいな妄想話だって、他の奴に言ったらぜってー笑われるけど、ちぃは笑わないで…"なんとかってゆうマンガでそーゆーのあったよ"とか…そーゆーこと言ってくれるじゃん」

「…………っ」

「で、俺は"何だそれ"ってつっこむじゃん…俺は、そうゆうちぃが良いと思うし……」

ちぃは涙が止まらなくなった。

「………ごめん」

「そーゆー感じで良いじゃん、それを何か言う奴がいても……悪いことしてねーんだから、無視すればいいしさ」

「うん……うん」

何度も頷くちぃを見て、ヒノケンはちぃの隣にしゃがんだ。

「ちぃ……」

ちぃはしばらく声を殺して泣いていたが、やがて泣きはらした顔を上げた。

「ヒノケンは……ヒノケンさえ、いなかったら……」

ちぃは涙声で話した。

「?」

「私は……もっと早く転校してたんだろうな……」

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