中曽根工業高校
「………あ、私?」

「学校来づらいかと思ってたけど……まぁ来れてるみたいでよかった」

確かに来づらかったのだが……今日は伊澄に先日のお礼を言いにきただけだった。

「ああ……保健室しか入ってないけど」

ちぃは小声になり、俯いた。

「今回のことでさ」

「ん……?」

「あんたに同情してる奴もいるし…みんなが敵じゃないから」

「…………」

(なぐさめて……くれてる?)

「世間の奴ら、狂牛病の事とかすっかり忘れて肉食ってんじゃん?うちの学校なんかさ、特にバカばっかだし……奴らもすぐ忘れるって」

「ありがと……」

自分だって、嫌な思いしてるだろうに…気をつかってくれる直人の優しさにちぃは感激の涙を流した。

「何か俺が泣かしてるみたいじゃん……まぁそうだけど」

「ははっ(笑)」

保健室のドアがガラッと開いた。

伊澄だ。

「あ、伊澄ちゃん」

伊澄は声をかけてくれた直人を見れずに、ちぃの元へ寄った。

「調子は?もう出てきて大丈夫?」
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