中曽根工業高校
「あー……まぁ、俺もこの通り、あんまり覚えてないから気にするなって。俺、実際…冷たいし(笑)」

「…………」

雰囲気を変えようと、直人はおどけて言ったが、伊澄の表情は曇ったままだった。

「あの……伊澄ちゃん?」

「そんなことない」

「ん?」

伊澄は涙目で直人を見つめた。

「水澤くんは……誰より優しいから」

「え……、いや、そんなことは…」

伊澄の涙に直人は戸惑った。

「ごめんなさい…私、先生なのに……水澤くんのこと、わかってなかった」

「いやいやっ!先生とか…関係なくね?」

直人は顔の前で手をパタパタ振って、否定した。

「関係あるぅ」

「いや、だからさ…教師とか言っても……つまりは、他人じゃん?親とか…家族でもわからんことあるんだから…俺と伊澄ちゃんなんて……知り合って、1年ぐらいっしょ?こんなしゃべるようになったのなんか……もっと最近だし……」

「うん……」

「わからんことだらけで……当然じゃね?」

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