中曽根工業高校
「うん」

気がつくと、教師と生徒の立場が逆転していた。

「そうっ。この話はおしまいで……湿布ある?」

直人は手を叩いて、話題を変えた。

「あるよ」

「肩に貼りたいんだけど…」

「どうかしたの?」

棚から湿布を探しながら、伊澄は尋ねた。

「兄貴の引っ越の手伝いしてて…」

「お兄さんいるんだ。いくつ?」

「ハタチ。もー結婚するけど」

伊澄は箱から湿布を取り出した。

「どっちの肩?」

「こっち」

直人は右肩を出して見せた。

「ちょっとヒヤッとするけど…」

ペタッと貼ると、直人はビクッと反応した。

「うわっ…これ苦手」

「ふふっ」

そんな直人が、なんだか可愛らしく見えた。

「匂いそうだな…」

直人は自分の肩に鼻を寄せて、クンクン嗅いだ。

「一応…無臭って表示あるけど…でも水澤くんて、いつもいい匂いしてるよね」

よく直人からは香水の匂いがしていて、実は香りフェチな伊澄は気になっていた。

「えっ?そうなの?」
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