中曽根工業高校
一度軽く別れた手前、なかなか話題が見つからず、ほとんど沈黙だった。

他から見たら、きっと倦怠期か、ケンカ中のカップルだと思うだろう。



(はぁ…………超気まずい……)


岬に会いたいと言ったのは勢いだった。
正直、岬の事がまだ好きなのかもよくわからない。

しかし、ずっと岬の存在が心に引っかかっていたのは事実だ。

岬のお腹をちらっと見た。

(まだ………そんなに出てないんだな)

妊娠について、そこまで知識はないけれど……もう産まれるばかり……ではなさそうだ。

(もっと腹が膨れてたら……諦めついたのかな)

「……腹、あんまり出てないんだな」

思わず言ってしまった。

「ああ…まだ2ヶ月だし」

「相手は、どんな奴」

ある意味コワいものなしかもしれない。

あれだけ気になっていたのに聞けなかった話題をすんなりと口にできた。

「同じ……ダンススクールの人」

「タメ?」

岬は黙って頷いた。

「……聖也は、彼女いるの?」

岬も開き直ったのか、ズバリ聞いてきた。


「……いるよ」
< 148 / 249 >

この作品をシェア

pagetop