中曽根工業高校
「なんだよ、それ」

「……わかんない…」

「お前、それで日本帰ってきたの?」

岬は首を横に振った。

「子供は……日本で産みたいっていうのは妊娠の前から思ってて…海外で一人で産むの……不安だし」

「……………」

聖也は、何も言えなかった。

どうすればいいのか、わからない。


「………軽蔑、した?」

正直、それも、ある。

実際、聖也の中学の後輩に、付き合ったばかりの彼女に子供ができてしまい、責任をとる羽目になった奴がいたからだ。

まだ、17そこそこの歳で父親なんて…。

17なんて、一番遊びたい時期なのに、ヘマしたな、と聖也はつくづく思った。

その話を聞いてから、聖也はちゃんと避妊をするようになった。

しかし……

「子供、産みたいんだろ?」



岬は黙って頷いた。

「………………」

席を立ち、岬を見下ろした。

「俺、やっぱ……帰るわ」


「…………」

「じゃあな」

レシートをレジに持っていき、二人分を支払った。
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