中曽根工業高校
「…………っ」

『何か今、そんな気持ち思い出してた』

「私も……」

少し、泣きそうになった。

『ん?』

「聖也からの電話が欲しくて……わざと聖也のもの、持って帰ってた」


『そうなの?!』

"間違えて持って帰りそうで、なくなってすぐ気がつくもの"で、今日はどれを持って帰ろうかと毎回悩んだ。

いつも同じものだと…ワザとかと疑われる可能性もある。

「聖也の部屋のスリッパ…持ってった日も、電話かかってきたけど、聖也気づいてなくて」

『え?その時、俺なんて言ってた?』

「お前の友達の子がテレビ出てるよ~あっ、よく見たら人違いだった~」

『わっ…痛いな、俺…』

「痛いのはお互いさま(笑)そのスリッパ、まだ家にあるからね」

聖也も吹き出した。

『結構、その時は言えなくても、時間が経ったら言えること、あるんだな』

「そうだね」

『きっと……これからもあるんだろうな』

何だか、切ない気持ちになった。

「そうかもね」
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