中曽根工業高校
キノはポケットからケータイを出し、りょうに開いて見せた。

「……………?」

待ち受け画面は、砂浜に描かれたハートマークだった。

その中には、"りょう"と"ひより"の文字が縦書きに並んでいた。

「付き合って…最初らへんのころに、行った海…」

「………うん」

「りょうが砂浜に描いたんだ。正直、俺たち付き合ってたけど……りょうは本当に自分が好きなのか疑問だった。でも…りょうが砂浜にこう描いてくれて…すごく、嬉しかった…!まぁ、りょうにとっては些細な事だと思うけど」

その時、りょうが"これ他の人が見たらさぁ、りょうが彼氏でひよりが彼女だと思うよねー"と言って笑ったのを覚えている。

「不安にさせてごめん。合コンの事は……なんてゆうか、いい加減……りょうをあきらめた方がいいのかなって思ったんだ。りょうに対する気持ちは…砂浜の時から変わってないけど」

「……覚えてるよ………」

「え」

りょうはそう言ってキノの胸に頭をのせた。


「……そこまでバカじゃねーよ」


「……よかった」

少し、泣きそうになった。

「キノー!!抱きしめたれっ!!」

いつの間にかいた聖也が窓から叫んだ。

「キースッ!キースッ!」

聖也につづき、気がつくとクラス中がキスコールをしていた。
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