中曽根工業高校
「じゃ」

聖也は階段を下っていった。

「帰るか?」

「いや…授業、受けるよ。担任から、進級やばいって言われたし」

「そう……」

直人は黙って聖也の後に続いた。

教室に戻ると、生活指導の小椋がカンカンになって教壇に立っていた。

先ほど、ないがしろにされていた生物教師が呼び出していたらしい。

「いま、キノとりょうが呼び出されてるって」

「別にキノ悪くねーのにな」

ヒノケンと土屋は保健室でグチっていた。

「つまり……広瀬さんと木下くん……つきあうんだよね?」

「らぴーよ」

ヒノケンは嬉しそうに答えた。


「失礼しまーす」

そう言って保健室に入ってきたのは、バレー部の西田だった。

「おす」

「ん…」

ヒノケンが軽く会釈すると、西田はぎこちなく答えた。

ちぃとの一件以来、二人は和解もせず、気まずいままだった。

「どうしたの?西田くん」

「すいません、頭痛薬もらえますか?」

「いいけど……大丈夫?」

伊澄は薬棚を開けて、西田の様子をうかがった。

「はい……試合前は、いつもなんで」

「デリケートなんだな」

「ははっ」

土屋の言葉にヒノケンは軽く笑った。

「はい」

「ありがとうございます」
< 213 / 249 >

この作品をシェア

pagetop